まんぷく好調 夫婦に強い大阪

【先週の数字】23・8%
女優安藤サクラ主演で1日にスタートしたNHK連続テレビ小説「まんぷく」の初回視聴率です(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。初回の23%超えは01年の「ほんまもん」以来17年ぶり。第1週6話分の平均視聴率は21・9%で、ここ5年で最高を記録しました。陽性で推進力のあるヒロイン像と、波瀾(はらん)万丈の成功物語。朝ドラの王道をいく作風に私もすっかりはまっている1人なので、絶好のスタートダッシュは頼もしい限りです。【写真】「まんぷく」のロケが行われた和歌山県のポルトヨーロッパ番組は、インスタントラーメンを開発した日清食品創業者、安藤百福さんとその妻、仁子さんの半生をモチーフにした、脚本家福田靖さんのオリジナル。ニッカウヰスキー創業者とその妻をモデルにした「マッサン」(14年=玉山鉄二、シャーロット・ケイト・フォックス)や、明治時代に登場した女性実業家とその夫を描く「あさが来た」(15年=波瑠、玉木宏)など、生き生きとした“創業者夫婦もの”が抜群にうまいNHK大阪放送局のお家芸が今回も発揮されています。
大阪制作はベタと型破りのバランスがよく、決して優等生ではない登場人物たちに血を通わせるのがうまいという印象。エリートではないところに共感ポイントがあり、突破力や次の一手に興味が沸くんですよね。安藤サクラさんと長谷川博己さんのコンビも、そんな人間味で生き生きと大当たり。大きなことを成し遂げた人の求心力を、抜群の演技力で見せてくれています。
ヒロインの福子(安藤)が大阪東洋ホテルの電話交換手として働き出したところから話を起こし、初仕事で萬平(長谷川)の電話をつなぐという1話の“出会い”にわくわく。朝ドラや大河ドラマなどの一代記は子役時代の生い立ちから始めるパターンが多いですが、個人的には「あまちゃん」や「マッサン」のように、1話から「この主演についてこい」と力強く受け手を引っ張る脚本の方が好み。無自覚にユーモアがあり、すっきりと働き者な2人の笑いと涙に共感でき、一発でこの人たちのファンになりました。
「ここからが始まりです。福ちゃんと萬平さんの物語」。史上最年少で語りを担当する芦田愛菜ちゃんのはつらつとしたナレーションも素晴らしいですね。2人の物語をいい距離感で見守っていて、聞いていて分かりやすいです。
1話で声のニアミスをしている2人がどう出会うのかと思ったら、4話で早くも名場面が訪れる展開。萬平が開発した幻灯機(スライド映写機)が2人を取り持つ流れでした。幻灯機の美しい光に表情を輝かせる2人の様子がほのぼのとしていて、ニューシネマパラダイスのようなひととき。軍事に使われるはずの機材を「姉の結婚式で使わせてほしい」と談判する福子の行動力と、開発したものが人の役に立ったことを喜ぶ萬平の技術者魂。二人三脚のベースがすてきに描かれました。
5話はそこから3年後の再会。本当にテンポが早いですが、大阪商工会のパーティーがホテルで開催されるという必然作りがうまく、丁寧に描写を積んでいるのであっという間のラーメンデートもキュンキュンと見られるんですよね。「アメリカと戦争が始まってしまいましたね。でも僕と付き合っていただけませんか」。よろけた大告白に爆笑。不器用ながらうまいこと寄り添っている2人に、応援しがいがあるのです。
母親(松坂慶子)がかき回し役として快刀乱麻を繰り広げている家族パートも泣き笑いがたくさん。橋本マナミら大阪東洋ホテルの面々は魅力的に福子にかかわり、萬平とは対照的なガツガツ感で夢を追う片岡愛之助、桐谷健太ら大阪経済界パートの暑苦しさも上等です。要所要所で登場する情熱の歯医者、牧善之介(浜野謙太)は、脚本家の遊び心でしょうか。もはや「牧、善之介です」と名乗っているだけで笑える強キャラ。こういうオリジナリティーでSNSを沸かせる制作手腕もハマケンも痛快です。
メンタルがすっきりと自立していて、陽性の推進力があり、ほれぼれするほどしぶとい。そんな朝ドラヒロインが好きな私にとって、福子も萬平も非常に魅力的。こんな序盤からヤマ場につぐヤマ場で、展開から目が離せません。2人が成功をつかむまでの一本道と、牧善之介を最後まで楽しみたいと思います。
【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)
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